ヒーローズ2の世界から帰ってきた人たち


「そういや、あっちの世界にはおもしろいモノがあったな。なあレック、ホイミストーンって知らないよな?」
ハッサンの問いかけに、オレは首を横に振った。
「向こうじゃよく知られてたんだがよ。魔力を封じた石で、回復呪文を使えない奴でもホイミを発動できんだ」
「賢者の石じゃないか」
「あー、いや、ちょっと違うな。なあテリー?」
ハッサンは助け船を求めるようにテリーの方を見た。
「あー。ちょっと違うな、うん」
オレが首を傾げて見せると、テリーとハッサンも首を傾げる。思わず苦笑いしてしまった。
「分かんないって。少しは伝える意欲を示せよ、君ら!」
「説明しろと言われると難しいが……」とハッサンが考え考え口を開いた(テリーはハナから彼に丸投げするつもりらしく、素知らぬ顔をしている)。「賢者の石は…なんつーか、石から魔法が出てくるだろ。ホイミストーンってのは、あくまでヒトが唱えるんだ。あ、そうそう、一回使うと魔力が空になって、また使えるようになるまでしばらく時間がかかるんだった」
「へえ、術者を介するのか。なら賢者の石よりずっとシンプルだな。大気のエーテルを蓄えて、術者の魔力として放出するの?」
「おお、さすがレック!オレたちよりよく分かってるじゃねえか!」と言って、ハッサンは陽気に笑った。「なにしろ石を掲げて詠唱するだけさ。ホイミ、ベホイミ!な、テリー!」
「そうだな、あれは便利だった。ベホイム、ベホマ、だ」とテリー。
テリーが噛んだみたいだったが、揚げ足は取らないでおいてやった。